"Roots/vol.9" 『route.©︎』ーーーでもその呪いの見方が変わっていけばいいなって思っていて、

佐藤佐吉演劇祭2022、参加団体のこれまでとこれからをお伺いし、できれば歴史をアーカイブしていくインタビュー企画"Roots"が始まっております!

いままでのRootsはこちら

今回は、route.©︎の主宰、平安さんと、主題歌を担当している瀬木さん、出演のまひたんさんをお迎えしてのインタビュー抜粋書き起こしです!

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route.©︎
[ひねくれ者よ、かわいく、世界を創れ」を合言葉に、普通のハッピーエンドじゃ幸せになれない人の為のハッピーエンドを生み出す創作団体。(公式HPより抜粋)


大石:おはようございます。佐藤佐吉演劇祭2022のインタビュー企画Rootsのvol.9ということで、今日はroute.©︎の皆様にいらしていただいております。では早速なんですけど、各々簡単な自己紹介をお願いしてもいいでしょうか?

平安:はい。route.©︎で脚本と演出、そして主宰をやっております平安咲貴です。よろしくお願いします。

瀬木:route.©︎で楽曲制作担当をさせていただいてます。瀬木マコモといいます。よろしくお願いします。

まひたん:フリーで役者をやってます。今回route.©︎さんには…7回めの出演になるのかな?よろしくお願いします。

大石:7回って結構じゃないですか。どのぐらい前から出演されてるんですか?

まひたん:3年…ちょっとですかね。

大石:3年ちょっとで7回やってるのもすごいけど…!

まひたん:出てない作品を観に行って泣いてます。

大石:(笑)ファンであり、ヒロインである。なるほど…じゃあどんどん喋っていきましょう!ということで、演劇を始めたきっかけを皆さんにお伺いしているんですけど、平安さんからお伺いしてもいいですか。

平安:えっと、私が演劇を始めたきっかけが、小学校のときに毎年学校でお芝居を見る機会があって。当時毎回地方をまわってる劇団さんが来て、体育館とかで、みんなでお芝居を見るという催しがあって、そのときに小学校2年生のときに見た「真夏の夜の夢」がめっちゃくちゃ面白くて。
劇団さんに一言言おうと思って、で帰りの会を抜け出して行ったら…今となって当たり前なんですけど、やっぱりそれまで華やかな衣装着てた人たちがジャージになって、荷物をトラックに積んでいるんですよ。それを見たときになんかすごいかっこいいって思って。ああこの人たちがあれをやったんだって思うとすごい感動して、それでその勢いのまま小学校2年生のときに脚本…脚本って程でもないんですけど、物語を描き始めて…っていうのがきっかけです。
仲間を集めてやり始めたのは中学校のときですね。中学校のときに演劇部があったんですよ。そのときに部員が足りないからって言って誘われたのと、好きな人が演劇部室の隣の将棋部の男の子だったんです。というのもあって、それで演劇部に入ったっていうのがあって、演劇をやるきっかけになりました。

大石:めちゃめちゃ理由かわいいですね。瀬木さんいかがですか?演劇とか…音楽なのかな。

瀬木:そうですね、演劇はやったことがなくて。音楽は、気づいたらギター買ってたみたいな感じになって。歌詞とか歌とかはずっとちっちゃい頃から好きで。
でも人前に出るのがちょっと苦手で…こそこそ家で誰もいないときに歌ったりとか、歌詞を書いて誰も見れないとこにしまってたりとかしてて。表に立ち出したのが高校生のときで、それが憧れのアーティストが見つかったのがきっかけで、自分も歌いたいって思って、表に立つようになりました。

大石:おっ、憧れたアーティストさんはどなたですか?

瀬木:SEKAI NO OWARI、っていうアーティストさんです。人の心を動かせるのすごいなってその人たちの音楽を見て思って、すごいそこで憧れを持ちました。

大石:なるほど。route.©︎さんとはどういうご関係なんですか?

瀬木:共通の友達が一人いて、その方にミュージックビデオを撮っていただいたんですけど、その共演者として(route.©︎の宣伝美術を担当している)小林さんと、初めてお会いして…で私が個人的に小林さんが好きで(笑)小林さんとつながったら、route.©︎っていう団体に入っているんだって知って。
…で私、実はオーディションを一回受けてて、演技できないんですけど(笑)「ああ、この劇団すごい好きだな」って。人とか作品とか含めてなんですけど…で、私は演技ができないので、曲を書かせてくださいってお願いをして。route.©︎さんとの関係ができました。

大石:なるほど。逆オファーなんですね!じゃあ、まひたんさんにお伺いしてもよいですか?

まひたん:小学校1年生のときに従兄弟のお母さんの持ってきた市民ミュージカルのオーディションを受けて。でそのミュージカルやってた時に、元宝塚のOGの方とか、元劇団四季の方とかが参加していて、そこから宝塚にドハマりして(笑)もともとダンスばっかりだったんですけど、そこでお芝居に興味持って、それからここまで好きって気持ちだけで来ちゃった。みたいな(笑)

大石:なるほど!出身は神戸に近いんですか。

まひたん:出身は三重県です。

大石:そういえば出身聞いてなかったですね。平安さんは…

平安:出身、沖縄でございます。

大石:そうだった気がする!平安って沖縄の名字なんですね。

公式Twitterより。このセーラー服、揃いで自作だそうです!


「いとおしいなって私は思うんですよ。女の人のしたたかさとか、弱さとかも」

大石:じゃあ平安さんに…今の作風になったきっかけとか、あとバイブル的な、創作に対して影響を受けたものとか、好きな人とかそういうものがあったらお伺いしたいんですが…。

平安:色々ありはするんですけど、私、実はそんなに映画とかドラマとかはそんなに好きじゃなくて…好きじゃないというか、見るのが得意じゃないって言った方がいいんですかね。得意ではなくて…今の作品に影響してるのは多分、結構少なくて。

3つあって、って1つは…すごい少女漫画に影響受けてるんですよ。で、もう1つは桜庭一樹さんっていう方の描く少女像にすごく影響を受けてて、あともうひとつが、これも本なんですけど、「完全自殺マニュアル」っていう(笑)

大石:全然違うところが!

平安:私はめちゃくちゃ好きで。この3つがけっこう強く影響してて、作品とかモロ台詞とかにも使われてるのが、この3つですかね…。

大石:少女漫画はどんなものが?

平安:新しいのをずっと読み続けてるって感じです。小さいころから読んでる…それこそ美内すずえさんとかの時代の少女漫画も好きだし、

ちょっと行って「りぼん」とかの、めちゃくちゃ目がでかい時代の少女漫画あるじゃないですか、あれも好きだし、ちょっと古いですけど「君に届け」とか「ストロボ・エッジ」とかも好きだし…幅広く読んではいて。

大石:桜庭一樹さんとはどういう出会いだったんですか?

平安:桜庭一樹さんは…あたしが高校のときに出会った女の子で…すごい好きな女の子がいたんですよ。
その子も演劇をやっていて…その子が私の描く、描きたい人間としてけっこうドンピシャだったんですよ。この子いいなみたいな、この子好きだなみたいなのがあって。私の描く少女にはずっと根底にその女の子が、いわゆるミューズ的に居るんですけど…その子が好きな本が、桜庭一樹さんの本で。最初に読んだのが「砂糖菓子の弾丸は打ち抜けない」っていうお話だったんですけど、最初は、その子を知るために読んだっていう感じで…そこから私もめっちゃ好きだなって思って。ですね。

大石:なるほど、団体の成り立ちについてお伺いしても良いですか?

平安:元々は、さっきも話に出た宣伝美術の小林と、同じ明治学院大学の演劇サークルにいて。他にもメンバーはいるんですけど、その…やっぱサークルで私のやりたいジャンルの演劇ができないっていうのもあり、で、そのときに最初に私が…私が目を付けたって言い方になっちゃうんですけど、いいなって思ったのが小林梨花(劇団員)で、彼女の自分の欲求がことごとく満たされない感じが私はすごく好きだったんですよ。満たされないくせに、へらへら笑ってる感じが…私個人的にすごい好きで、それもあって、こういう子と芝居をやりたいなって思って、でそれならサークルとかじゃなくて…もともと劇団を作りたいっていうのがあったし、人を引き込んでやってみるのも面白そうだなって思って。
帰りがけに「劇団やってみない?」って誘ったら「ええよ〜」みたいな感じで(笑)それが始まりです。

大石:なるほど。小学校から物語自体は書いてたわけじゃないですか。今、route.©︎さんって少女漫画ではないですけど、少女的だったりとか、そういうジャンル、作風がもう確立してると思うんですけど、それっていつ頃からなんですか?

平安:それは…route.©︎を私が作ろうって思った時からで、それまでは結構…それこそ高校とか中学校のときに書いてた話とかって、実はコメディが多くて。

大石:意外!!

平安:(笑)実はコメディーとかエンタメとかがわりかし多くて。みんなで悪者をやっつけてハッピーエンドいえーい、みたいなとか(笑)
でも高校のときに出会った女の子のこともあって、なんとなく…そうじゃない作品をやってみたい、とか、自分の中にある…厭世観というか、もやもやみたいなのを吐き出すツール、表現するツールがそれまでは演劇じゃなくて。
でも。これを物語として昇華できたら面白いかなって思って。で、どうせそれを昇華するんだったら…可愛く、とことん可愛く加工して見せたいな、っていうのでroute.©︎っていうのをまず最初に作って、そこからですね。そういうのを書き始めたのは。

大石:かわいいに拘るようになったのは、その出会った女性たちの影響なんですかね。

平安:そうですね…わたしは女の子なので、わたしがやっぱり理解して書けるのは男の人じゃなくて、女の人になるわけじゃないですか。
自分が理解できる範囲だったりとか、理解できないことも含めてなんですけど、女の子のめんどくさいところとか疎まれる文化みたいなものが、私にはずっと「かわいいもの」としてずっと見えてはいて。すごい…尊いなとか、いとおしいなって私は思うんですよ。女の人のしたたかさとか、弱さとかも。
だから女の子っていうものを描くのであれば、私はそのめんどくささとかそういうドロドロしたものとかを、私の見えてる通りに描きたいっていう。そこに否定とか、ヘイトとか、行き過ぎた美化とかじゃなくて、私の見えてる通りの、私が思う「女の子のこういうところって、ちょっとだるいけどかわいいよね」みたいなそういうラインを狙っていきたいな。そういう感じですね。

大石:なるほど、ありがとうございます。まひたんさんもファンだってお伺いしたんですけど、まひたんさんは順番としては、劇団員さんの後に関わり始めた?

まひたん:そうですね、第二回公演のときオーディションがあって、たまたまサイトで見てあらすじを読んで、そのあらすじにもうやられて。

大石:おお〜

まひたん:出てみたいと思ってオーディションを受けに行こうと思って、ですね。

大石:7本ぐらい出てるっておっしゃってましたけど、その中で団体の…一貫しているところとか、むしろ変わっているところとかそういうのはあったりしますか?

まひたん:そんなことをおしゃべりできるような立場じゃないんですけど…一貫しているところは、というより、私はroute.©︎さんも平安さんも、嫌いなんですよ。毎回台本を読むたびに嫌いって言って観に行くたびに嫌いって言うし。本当に嫌いなんですけど…出ちゃうんですよね。たぶん呪われてるんだと思います。

大石:…ツンデレ、的な理解でよいですか…?

まひたん:route.©︎のかわいさに呪われるのは一貫してるなって思います。具体的にちゃんと説明できるかって言われたら難しいんですけど、たぶん呪われてるなと…嫌いです。

大石:ありがとうございます(笑)3年で7本に出ているヒロインが、route.©︎嫌いです…と…でも平安さんは、(女性の)こういうところが愛おしいみたいな、ざっくり言うとそういうことなんですかね?

平安:そうですね(笑)

まひたん:いい意味で、ですよ!

大石:一瞬焦りましたよ!

平安:大丈夫、私も面と向かって嫌いですってよく言われます(笑)

大石:瀬木さんはroute.©︎のどういうところに惚れ込んで作曲の話になったんですか?

瀬木:わたしは、第3回公演の「愛は世界を救えないけど」っていう作品なんですけど…私も一緒で、あらすじにやられて。

大石:あらすじの力、強い!

瀬木:その次の、「夜明けとワンピース」っていう作品の劇中歌をやらせていただいたんですけど、それはあらすじで曲を書いたぐらい、いつもあらすじでやられてるんですよ。

まひさんの言うのめちゃくちゃわかるんですけど、しんどくなるのわかってても、観たくなっちゃう。だから呪いというか…あると思います。

大石:なるほど、しんどくなるのわかっていて、毎回…これを読んだら必ず泣いてしまうのがわかってるとか、これを読んだら心の隠してるの開かれるのはわかっているけど読んじゃう、みたいな。



「香った瞬間、一瞬時間が止まったんですよ」

大石:じゃあそんな作品についてお伺いしていきたいんですけど。平安さん脚本ってどういうふうに書いていくタイプですか。

平安:私はまず最初に、おおまかな箱…起承転結を1、2行ずつ本当にざっくりと書いて、その次に主体となる人物の、人物像とかをめちゃくちゃ考えて…どういう子で、何が好きで、どんな過去があって、何がコンプレックスでみたいなのをめちゃくちゃ考えて…それで「いける!」みたいな。何か点と点がつながる瞬間みたいなのがあって、そしたらプロットに移って、で脚本って感じですね。

大石:行き詰まったりするとどうします?

平安:行き詰まったら、とりあえず書いてみる(笑)私は台本によく、「何か入れる」って書いて空白にしてたりするんですけど(笑)その前後とかは結構決まってたりしてるじゃないですか。だから行き詰まってる所をとりあえず抜いて、書いて、で前後のバランスの見て、ちょっと次これ入れてみようかな、ってやってます。

大石:着想というか、始まりのアイディアみたいなところはどういうところから得ることが多いんですか?

平安:結構イラストとか、写真とか、あとは本とかが多いですね。

大石:イラストとかっていうのは例えば展覧会とかに行ってみたいなことですか?

平安:そうですね。ふらふらっと…名前も知らない人でも、ふらっと入って…よくわかんない絵とか見たりとかして、そのときの違和感とか…あと、結構私は裸婦画が好きで、そういうのとかを見て、テーマとか決めたりします。

大石:へえ〜…!その流れで今回の話に行きたいんですけど、今回の「放課後、ミドルノート」はどういうところから始まった作品なんですか?

平安:今回は2つあって、1つは…冬に、バイト中に…すごい忙しい時間帯だったんですけど、そのときにキンモクセイのすごいいい香りの香水をつけてる女の人が入ってきて、すごい忙しかったんですけど、香った瞬間、一瞬時間が止まったんですよ。私の中で。その感覚がずっと引っかかってたっていうのがひとつめ、
あともうひとつがこれまた桜庭一樹さんなんですけど、桜庭一樹さんの「少女には向かない職業」っていう本があって私それがすごい好きで、今回は結構それをベースに…ていうか、それのroute.©︎版っていうか。「少女には向かない職業」って、少女の時で終わる話なんですよ。それと似たような状況を、全く別の少女ふたりと、全く別の家庭環境の中で、さらに先の、少女たちが生きた未来を描きたいなっていうので、今回の「放課後、ミドルノート」っていうのが出来ました。

大石:あらすじ的なところお伺いしたいんですけど、あっ今あらすじ拝見したんですけど、確かにパワー強いですね!しかも観念的じゃないというか、物事よくわかるタイプのあらすじじゃないですか。

平安:そうですね、簡単に言えば、中学校の頃の友達がAV女優になっていたってところから始まっていて、その友達と、その主人公の女の子、カナエちゃんって言うんですけど

まひたん:カナエちゃん(役)です!

平安:でAV女優になったのがユキちゃんで、カナエちゃんとユキちゃんがが中学校時代に犯そうとした罪の話ですね。

大石:確かにしんどそうな…詰まっている感じがしますね。主題歌に関してお伺いしていきたいんですけど、そもそも主題歌がある演劇ってそんなに多くないじゃないですか。今回歌に関してどう始まったんですか?

平安:そうですね、まこちゃんがroute.©︎に入ってくれたっていうのもあり、こっちのお願いというのもあるんですけど、まこちゃん自身の意欲っていうのもあって…なんだろう、なんかそういう流れになったみたいな感じで(笑)でも、(楽曲が)すごいです。
基本的に楽曲に関しては、私が脚本をまこちゃんにお渡ししてて、まこちゃんが何度か稽古場にきて、それでイメージ作りながら、作詞作曲も基本的にもまこちゃんにお任せするっていう形なんですけど…これがめちゃくちゃめちゃくちゃ素晴らしい出来で。

大石:脚本家がいるのに作詞まで全部お任せしてるのはすごいなって思うんですけど、瀬木さんとしては、今回の脚本を読んで、どういう印象で曲を作ったんでしょう?

瀬木:あらすじを読んだときの感情と、脚本を読み終わった時の感情がちょっと違って、本当は放心したかったんですけど、今の感情のまま書かなきゃと思って。
脚本を読み終わってすぐ歌詞を書いて…物語にリンク、というより、出てくるキャラクターにリンクした歌詞を書いたんです。すごく好きになったキララちゃんっていうキャラクターがいるんですけど、その子に寄り添ったものを書いてみました。誰かに向けた褒め言葉って、その子にとっては苦しめられるものだったり、幸せって誰かにとっては苦痛だったりっていう、そういう生きてる中での苦しさを歌詞で表現して、「普通」とか「常識」に押し殺された感情とかを、訴えてます。

大石:あらすじ読んだときと脚本読んだ時の感情が違ったっていうのはどういった違いだったんですか?

瀬木:最初は、友達とお父さんを殺そうとしたっていう…過激なイメージだったんですけど、脚本を読み終わった後は何だろう、不思議と救われる気持ちになった部分もあって。たぶん共感できるキャラクターとかがいたのもあったり、主人公が選んだ道とか、いろいろ含めて…苦しいだけじゃなくて、安心じゃないですけど、複雑な感情もありました。脚本読んだ後は。


公式Twitterより、出演者小練ネコさんポートレート


「呪いの見方が変わっていけばいい」

大石:なるほど。確かに平安さんがそもそも女の子の面倒くさいところを尊いと思って、それを書いてるってことは…自分のよくないところを肯定してくれるみたいな感じもあるんでしょうか。

まひたん:肯定は…されますよね(笑)

大石:(笑)さて、今回の見どころ的なところをみなさんにお伺いできればと思うんですが!

まひたん:とにかくみんな呪われてほしいです。

瀬木:衣裳と舞台美術がすごいです。

平安:セーラー服をデザインして作ったんですよ!

大石:すげー!

まひたん:めちゃめちゃ天才でした。

平安:べらぼうかわいい。世のセーラー服の中でうちのセーラー服がいちばんかわいいです。世界で一番かわいいセーラー服が拝めるのでもうそれだけでも尊い…

大石:劇団員さんの手作りなんですか?

平安:そうです。スカートは私の高校の母校のスカートを使ってるんですけど、そのスカートのデザインとか生地感とか色を見て、そのセーラーの上の方のデザインは劇団員の田島あんなって衣装担当の子が全部デザインと作成を。

大石:すごいですね。世界一可愛いセーラー服は気になるな…ありがとうございます、最後に、物語として今回平安さんが大事にしたことをお伺いしたいです。

平安:なんか…さっき二人が「呪われる」って言ってたじゃないですか。私は「呪い」が悪いことだとは思ってはいなくて。「呪い」があるから生きていけるみたいな部分も私の中にはあって。
だから…私が結構大切にしてるのは、みんながかかっている呪いや息苦しさが、その人にとっての「おまじない」になるといいっていう思いがあって。呪いを解こうとは全然思っていなくて、でもその呪いの見方が変わっていけばいいなって思っていて、
今回の…これはぜひ観ていただいた方それぞれで見つけていただければなって思うんですけど、今回物語の中に色々と、出てくるキャラクターにとっての呪いを散りばめていて、
その呪いが、人にによっては解けることもあるし、人によってはそれがずっと呪いのまま生きていることもあるんですけど、それが最後にどう映るのか。
その呪いが、生きていく中で、各々のキャラクターにとってどういう風な見え方をしていくのかっていうところにこだわって作っています。
それは人にとっては醜いかもしれないし、綺麗かもしれないし、可愛いかもしれないし、痛いかもしれないけど、誰かにとって、見方を変えるきっかけになれればいいな。そうなれるシーンがあるんじゃないかなと思っています。


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