"Roots/vol.10" 『南京豆NAMENAME』ーーー非常に合法的に平和にでけえ声を聞くなら劇場へ。

佐藤佐吉演劇祭2022、参加団体のこれまでとこれからをお伺いし、できれば歴史をアーカイブしていくインタビュー企画"Roots"が始まっております!

いままでのRootsはこちら

本日は、南京豆NAMENAMEのおふたりをお招きしたインタビュー抜粋書き起こしです!

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南京豆NAMENAME---2017年に法政大学Ⅰ部演劇研究会出身の河村慎也とやぎそので結成。
『ラフでポップだが血の通った演劇』『やりたいことはなんでもやる』の二つの創作理念を掲げる。
千葉県長生郡白子町に創作の源流を持ち現在の拠点は東京都。
第三回公演「あいちゃんはイデオロギーの戦士」で佐藤佐吉演劇賞2019優秀演出賞を受賞。(写真右上・河村さん/写真左上・やぎそのさん)


大石:さて、佐藤佐吉演劇祭2022のインタビュー企画Rootsの第10弾ということで、今日は南京豆NAMENAMEのお二人に来ていただいております。どうぞよろしくお願いします。ということで自己紹介からお願いしたいなと思うんですけれども、

河村:はい、南京豆NAMENAME主宰の河村慎也と申します。よろしくお願いします。

やぎその:南京豆NAMENAME、副主宰をやっています、やぎそのと申します。

大石:河村さんは脚本演出で、やぎそのさんは今回の作品では制作補佐と衣装ということでクレジットされてますよね、

やぎその:そうですね、衣装は学生の時からやってて、ほぼ毎公演そこはサポートというかメインくらいでやってて、制作補佐っていうと、ホームページの更新とかはもうほぼ常にこっちが見張ってるような感じだったりしますね、作業のメールを見たりとか、通常業務みたいな感じですね、本番入るまで、制作さんに渡すまでの間をやってるって感じです。

あとはもう、一番大きいのは…河村に首輪をつけて、手綱を握って、鞭を与えたり飴を与えたりっていうのは私の一番大きな仕事になると思います。

大石:なるほど!脚本を読んだりとかもするんですか。

やぎその:そうですね、何割稿、何割稿、ってちょっとずつ送られてきて、わたしがそれにiPadで赤を入れて返すっていう。

大石:結構ダメ出しを?

やぎその:ダメ出しっていうよりかは…ここはダメですとか違いますってことではなくて、うーん小並感みたいな感じで、「ここ、私はこうのほうがいい!」みたいな(笑)

大石:そうなんだ!なるほど。河村君主宰のイメージ強かったから、そんなに手綱がついてるの知らなかったです。

河村:めっちゃ付いてます手綱。ガチガチです。


“最初「アディダス」ってあだ名でした”

大石:じゃあまずは、演劇をはじめたきっかけをお伺いしたいです。

河村:きっかけはなんとなくなんですよね。大学のとき演劇サークルに入ったんですけど、そのきっかけとしてはなんとなく…高校まではラグビーをやったり、柔道をやったり、ガチガチな体育会系だったんですけど…その体育会系の上下関係の感じとか、こういう言い方あれかもしれないけど、体罰とかにも飽きてきたんで、大学はちょっと文化的に暮らそうと思っていたんですよ。

で、1回入ったんですよ、バンドサークルとか、手品サークルとか。仮入部期間に遊びにいったみたいな。で、結果的に一番バカで、バカを肯定してくれる優しさを持ったところが演劇だったっていう。

やぎその:法政大学I部演劇研究会だよね。

河村:そこで一緒になった同期です。

やぎその:こいつは本当に、めちゃめちゃ異端でした。同期だけじゃなくてやっぱ全体を見てもやっぱり文化系みたいな、ちょっといい感じにオタク気質な人が多かったんですけど、なんか一人、「ウッス!」みたいな「センパイ!」みたいな感じの人が来て…

河村:最初「アディダス」ってあだ名でした

やぎその:そうだーー!わたしも、なんで入ったんだろうって思ってました。

大石;体育会系の人が大学入って急にね演劇部に入ると確かに、ギャップありそうですよね。

河村:そうですね。あったんだろうな。

やぎその:空気感全然違いましたね。だからよくずっと最後まで居てくれたなと思って逆に。ハブったりとかは別にしてないけど、空気感が違うから…ちょっと陽キャの光眩しいみたいな。

大石:河村さんはそれを感じていなかったんですか?

河村:いや、でも僕の悪いところもあって、体育会系な飲み会とかを押し付けたりしまったりとかしていたんで…若い頃の話ですけど!あと留学に行ったりとかもしてたんで。

大石:えっどこに留学してたんですか?

河村:オーストラリアに、語学留学へ。

大石:もしかして英語できる人なんですか?

河村:やめてそれマジでやめてくださいね。Yesとnoとthank youだけで渡り歩いてきたんで…

やぎその:学部名は?

河村:国際文化学部

大石:国際文化学部なのに!?えっとやぎそのさんのきっかけは何でしたか?

やぎその:私はもう、(演劇を)ずっとしたくて、でも高校までできてなくて、ずっと他のスポーツを、馬に乗ってたんですけど…馬術をなんやかんやずっとやってて、でもやっぱりずっと演劇したいって思いはあって。私、高校2年のときに立ち上げたんですよ演劇部をゼロから。仲間もいたっていうのもあったんですけど、それの流れであんまり疑問もなく、大学行った演劇サークルみたいな感じで見学行ったら、もうバチハマりで、やっぱりみんな同じなんでこの空気感が…ここしかないみたいなもう4年間ズブズブでいたって感じですね。

大石:なるほど、じゃあ、団体の成り立ちっていうと、法政大学のサークルの人達で集まって、

やぎその:たちというか…

河村:卒業してからなんですよ。なんだろうね。でもロイホで話した記憶はある。

やぎその:それはめちゃめちゃある。なんか、結局卒業間際になったら河村の方が私より演劇意欲が高くなってて(笑)私よりというか、同期の中で一番。最初めちゃめちゃ出席率も悪くて、一番体育会系で一番演劇から遠かった人なのにいつの間にか誰よりも演劇がやりたい人になっていて。

私もサークルの同期の中では一番演劇好きっていうか、そのサークル好きでいたんで、卒業しても演劇したいよねってずっと言ってて、私も「やろうぜやろうぜ」みたいな、ノリ半分みたいな感じで言ってたんですけど、卒業してから改めてほんとにやろうぜって言われて。で私も本当にやりたかったんで、ロイヤルホストで劇団名とかを考えて…

河村:ちゃんとした名前も考えてたんですよ。

団体イメージ・公式HPより引用

やぎその:西葛西絡めたりしてたよね。

河村:臨港スクランブル。

やぎその:[臨港スクランブル]あったね。[nope not today]とかおしゃれなのもあったんですけど、でもふた晩寝かせてやっぱり[南京豆NAMENAME]に。

河村:頭煮詰まっちゃったんですよやってるうちに。でもう南京豆NAMENAMEとかそういう意味のない言葉でいいんじゃないかっていう話に一瞬なったらそれがハマってしまったんだよね。

やぎその:そう、「南京豆NAMENAMEでいいわけない」っつって二日くらい熟成させたんだけど、あっそのとき隣に住んでたんだよね。

河村:そうそう

やぎその:その時ちょうど一緒に住んでて、ルームシェアしてて。私はそのとき入籍はしてないんですけど、婚約…同棲しつつ一部屋あいてるから、3人暮らしみたいな感じで、(河村が)隣の部屋にいたんですけど、

河村:居候ね。

やぎその:居候。で扉ガラガラって開けて「やっぱ南京豆NAMENAMEだわごめん」みたいに言ったら、

河村:「俺もそう思った。やっぱ南京豆NAMENAMEだよね」みたいな

やぎその:もう行こっ!行っちゃお!ってなって。

河村:こんな感じのノリです。

大石:めちゃめちゃ付き合いが長いんだなってことがすっごいよくわかりますね。べしゃりから。


“「無ディスカッション」みたいな”

やぎその:超腐れ縁なんですよですね。仲いいっていう意識はあんまりなくてずっと(笑)別に嫌いじゃないし、部分部分では好きなんですよ。でも友達分布でいうと、そんな友達度高いかって言われたらそうじゃなかったんですけど、

河村:ランキング中では僕は高順位じゃないんですよ。

やぎその:だったのに今となってはまじでズブズブみたいな。不思議。縁だよね。

河村:もう何度もケンカしましたしね(笑)

大石:いい関係じゃん(笑)じゃあ脚本についてお伺いしていきたいんですけど、河村さんの脚本の書き方みたいな話を…白目剥いちゃったけど…どうですか?

河村:プロットはもう殴り書きの…裏紙に書いて。20枚くらいの構想資料みたいな裏紙があって、その中に隠れてます。

大石:なるほど。で書いていきつつ、やぎそのさんに送って、愛のあるダメをもらって、稽古して、書いて、送って、書いて、みたいな?

河村:まさにそんな感じです。

やぎその:でもその構想を書く、それより前の本当に原始的なところ話すよね。まじで無の状態の時に、一回「無ディスカッション」みたいな、こんなネーミングじゃないんですけど、するんですよ。

河村「俺なんもない、やぎそのどうしよう…」みたいな。

大石:めっちゃわかる…その無ディスカッションではどんな話になるんですか?

やぎその:そのときは脚本を書くってことはあんまり念頭に置かず、私は勝手にそうしてるんですけど、自分が最近感情揺さぶられたことをいろいろ話します。怒り、悲しみ、あとニュースの感想とか。こういうニュースを見てこう思った。とか、Twitterでこうゆうツイート見たけど、私はこう思ったみたいなことをディスカッションして。ぱっと見ただの雑談みたいな。

で、結果として、私たちが…他の人もいたりするんですけど、話した中身のことをしっかり使われるわけじゃないんだけど、

河村:無理矢理ね。

やぎその:それで河村の中でピンとひっかかるみたいで。「書けるわ…」みたいに。

河村:本当にいろんなことを話して。こんな下ネタ入れたいとか最近面白かった下ネタとかそんなレベルの、無会議がありますね。

大石:頭の中かき混ぜてくれる人って貴重ですよね。行き詰まった時はやぎそのさんに相談するんですか?

河村:めちゃめちゃ相談しますね。

やぎその:感情でラインくるよね。「あっ!」ってなった時のそのままでラインがきます。

河村:個人的なことを言うと、音楽聴きながらめっちゃバイク乗るとか、無理矢理そういう時間をつくります。50ccですけどね。


「僕らの爽やかな深爪」スチール


“めちゃめちゃムカつくんですけど、こいつタイトルつけるのめちゃめちゃうまいんですよ”

大石:今回の話は、その「無会議」で言うと、どういうところから着想が始まったんですか?

河村:恋愛の話書きたいみたいなのは結構最初の方からあったんだよね。

やぎその:私、関口だと思うんだよね。

河村:関口かそうだ。

やぎその;私の記憶によると、この無会議のときに、たまに劇団員がいたり、劇団員以外の人間がいたりとかするんですよ。そういう雑談の場なので。

その時に…たしか関口っていう劇団員もそのとき「バチバチの恋愛の話観たいんですよね」みたいなこと言ってて…「それいいね」くらいの反応だったんですけど、それになったなっていう。

河村:そうですね、無意識で働きかけられてたかも。リディキュラブのラブの部分はそこから引っ張られてますね。

やぎその:めちゃめちゃムカつくんですけど、こいつタイトルつけるのめちゃめちゃうまいんですよ。遅筆のくせにタイトル毎回クソかっこよくて。

河村:「こういうタイトルだったらかっこいいでしょう集」みたいなの携帯のノートに作ってて。

やぎその:そうなの!?

大石:やぎそのさんも知らないことがあるの!?

河村:すごいメモってる。

やぎその:私こいつの脚本の書き方、まじで1ミリも共感できなくて。今は全然書いてないんですけど、書いてた時期は、書きたいことがあるんですよ基本的に。だから書きたいことあるから書けるじゃん。あるから書けるんじゃん。みたいな!

(一同笑)

あっこれちゃんと着地するんで!えっとその、私は書きたいこと先行なんで、例えばキャスト選ぶとしたらじゃあ誰々さん、これやってください、これやってください、って稽古しながらその人に寄せたり、寄せてもらったり、っていう感じの作業をして、本当に最後の方にこの作品だったら「タイトル何がいいかな」みたいな感じで考えるんで、だからそのタイトルを貯めるのマジで意味わかんなくて。作品ありきじゃんタイトルって。キッショ!(笑)今、キモい度が上がった!

河村:いやでもそういうのはあるよ…!音楽とか俺も聴くの好きだから、こういうタイトルだったらかっこいいなって曲とかいっぱいあるじゃん。

やぎその:まあそれはあるよ。

河村:だからそういうところから引っ張ってくるんじゃないかな?

やぎその:だから引っ張ってくるのはいいけど、何を書くか決まってないのにタイトルがファ〜ンって先に来てるのがほんとに不思議。否定じゃなく不思議だし、そうやってやってる人はいるかもしれないんだけど。河村に関してはまじでキモいです。

河村:そこ着地点なの!?まじで!?

やぎその:いやいやもうちょっと待って。あの、大石さんも執筆されていると思うのでわかると思うんですけど、やっぱだんだん苦しくなると思うんですよ。実際、結局私も書く書くって言って、書かないんです。日々に忙殺されて。仕事とか育児とか。でも河村はもう劇場取っちゃって、それに書くみたいなところは、やっぱり意味わかんないけど…劇団を存続させる上でそれをやってくれてるっていうのは、最近本当に尊敬してるところです。昔は変だなと思ってたんですけど、何も書いてない私よりもよっぽど尊いなと。

河村:そこが着地点なの?

やぎその:そう。

河村:でも言ってくれたように、その何にも書くこと決まってないのにとりあえず小屋を押さえちゃったよみたいなことはしょっちゅうあるんですよ。

やぎその:しょっちゅうじゃない。毎回

河村:毎回か。まあもう要はある種の綱渡りですけど、その中でやぎそのから出てくるポロっとした変な下ネタとか関口が言ってくれるようなこととかが毎回毎回ヒントになってうまいことやれてるっていうのがあって、だから俺は俺であなたに感謝してますよっていう。

(やぎそのさんと河村さんの固い握手)

大石:マイメンじゃん。



“爆発も宇宙にも行かずに、ちゃんと恋愛ものを書こう”

大石:さてさて、では。今回の話がどういう話かっていうのを聞きたいです。ラブの話なんですか?

河村:ラブの話です。リディキュラスっていう単語が、「ばかばかしい」とかっていう意味で、それにラブを引っ掛けたようなタイトルで。そのタイトルからわかるように、けっこうばからしい、ばかばかしい…いろんな人の恋愛を書いてる。

やぎその:最初の着想としては本当にそうだったね。傍から見たらアホみたいな恋愛している人、現実にいるじゃないですか。「何で付き合ってんのお前ら?」みたいな。

河村:そう言う人の話を。「離れらんないんだよな」とか言ってるような。傍から見たらアホらしい連中の話。出てくる登場人物、いろんな人がいろいろと愛を持っていると思うんです。けれどもそれをちょっとある種バカらしく…何かバカらしいって言葉でもいろんな捉え方があると思うんですけど、ポジティブな捉え方でそれをバカらしく書いているような。だからだいぶ今までの作品に比べてもコメディ要素が高くって、

やぎその:コメディ要素も高いし、そこまで荒唐無稽じゃないというか。

河村:多少は地に足ついているような。この間王子小劇場でやったのは、急に宇宙に飛び立ってしまったりとかしたんですけれども。今回は宇宙を出したりとか、爆発したりとかもせずに。爆発と宇宙が頻出すぎるから…

大石:爆発と宇宙を封印したのはどういう心持ちがあったりとか…?

河村:世界観としてそういうのが好きで、すぐに爆発させたり宇宙出したりしちゃうんですよね。何回か観ていただいてわかるかもしれないんですが、恋愛モノ書くには書くんですが、恋愛ものが一種のスパイスにしかなっていないような脚本を書いていることが多くて。掘りたいテーマぶつけたいテーマみたいのがあって、それにまつわる人物関係図として恋愛が存在するっていう書き方の方が僕は多いんですけど、ちょっと今回はそういうのをやめて、真正面から向き合ってみようと。悪い言い方をすると消費してきてしまったその恋愛を今回はちゃんと立ててみたいなっていうのがはあって。

なので爆発も宇宙にも行かずに、ちゃんと恋愛ものを書こうっていう。

大石:なるほどなるほど。じゃあ新たな南京豆っていう感じがするんですかね!

河村:南京豆はいつでも新たな南京豆です(笑)

やぎその:私から言うと、河村色っていうのは毎回あると思ってて。やっぱり私はそれが好きで、大学時代から河村節というか、河村の脚本はずっと好きで。入れるネタとか、着地の仕方とか、文化の取り入れ方とか、あと意外と…腹立つんですけど結構教養があって、その教養の入れ方とか。

大石:もうリディキュラブにもすでに教養あるもんね。

やぎその:そうなんですよ。

河村:yesとnoとthank youとloveはわかる。

やぎその:(笑)そう毎回南京豆って、というか河村の書く作品ってすべて、「結果として愛の話だったね」って毎回なるんですよ。だから最近ホームページにも足そうかなってちょっと思ってるんですけど、愛を取り扱っている劇団だと思ってるんですよ。男女の恋愛に限らず。

河村:佐吉祭のチラシ裏面にも「愛と絶叫のパワー会話劇」っていうキャッチフレーズ使ってもらってるんで。

やぎその:そうそうそだからそうちょっとずつこっちも出してるんで、愛だよって。だから結果として愛だったねみたいな感じにはなってたけど、ここまで「恋愛」ということに注目したのは結構初めてじゃないですかね。

宇宙に飛び立った前回公演、「僕らの爽やかな深爪」フライヤー


“ほんとに愛おしい人を書いてると思います”

大石:なるほど、見どころ的なところ、推しポイントとかありますか?

河村:さっき脚本の書き方のところで触れてはいたと思うんですけど、書きたいことあって小屋とってドーンみたいなのをやぎそのはやりたい。でも僕はそうではなくて、書きたいことないけど人集めて小屋取ってやるぞって書き方をしている。なので、めちゃくちゃ面白いやつらが揃ってます。

大石:おお〜!

河村:めちゃくちゃ面白いやつらが、恋愛とか愛とかそういうことで狂ったりとかとかしているんで…本当に、本当に素晴らしい役者さんたちと一緒にクリエイションさせてもらってて。

何かそれだけだとすごく薄っぺらく聞こえるかもしれないけど、本当にその人たちを、どこまで愛おしく狂おしくさせるかということを、頑張って掘って掘って掘りまくってはいるので、やっぱり見てほしいのは「人」じゃないですかね。

やぎその:(河村は)もともと絶対にあて書きタイプなので。私とは全然思って…しかもそのあて書きが本当によくて、人を愛おしくするんですよ。やっぱり小劇場って魅力的な役者さんめちゃめちゃいるじゃないですか、ただ「いい役者」ってだけじゃなくて、人間味ギュー!って人ばかりがやっぱり残ってるんで、そのギュー!をあんなに脚本の中で描き出せるっていうのは、やっぱりすごいなって思うし…すごい愛おしく描けていると思います。現状で私が読めている段階で。で、それは毎回。ほんとに愛おしい人を書いてると思います。

河村:よく観劇してくれた方のツイートに載るんですけれども、「役者さんがすごく良かった」っていう感想は良くも悪くもよく頂くので。今回もそれがビシバシ出てるんじゃないかなという気がしています。

大石:ありがとうございます。そういえば、やけにスムーズに進むなと思ってたんですけど、創作に影響を受けたものを毎回聞いてるんですよ。ありますか?河村さん

河村:何だろう。ビートルズめっちゃ好きです。愛だの何だのを書きがち、喋りがち、書き出しがちなのは…ジョン・レノンじゃないですかね、やっぱ。

やぎその:あるかもね。

河村:あと今回の作品は…特に僕青年漫画が結構好きだったりとかするので、そういうエッセンスを持ってこれたらいいなとか思って。

大石:例えばどんなのですか?

河村:例えば…「宮本から君へ」あと「火の鳥復活編」

やぎその:「火の鳥」ね、そうだね、「火の鳥」はかなりあるかも

河村:インスパイアされたベースにあるもの?みたいなのは、「火の鳥」と「ビートルズ」でお願いします。復活編って、火の鳥の作品中で一番恋愛としての要素強いんですよね。だから今回はすごくインスパイア元ではあるかもしれないです。手塚治虫自体すごく好きで。あと他にも「どろろ」とか「ザ・クレーター」っていう短編集とかあと「七色いんこ」とかすごく好きなんですけど、火の鳥が一番好きですね。

あとはロック。ロック系の音楽。

やぎその:音楽ね、音楽の影響強いよね。

河村:ビートルズ以外だと、好きなバンド…MGMTとか。

やぎその:私の印象、リップスライム。

河村:オルタナとか、そっち系の音楽が好きで。HIPHOPも好きなんですけど、熱い音楽が好きで、勢いみたいなのを演劇書きながら再現できたらいいなって。たまにすげえかっこつけて「ギターを持ったり、ベースを持ったり弾いたりすることができないから演劇やってんだぜ」みたいなこと言ったりするんですけど…めっちゃカッコつけてるときに。そんな感じです(笑)


“南京豆NAMENAMEと、おっきな声と、サスティナビリティ”

大石:なるほど〜、音楽の疾走感を、か。さてだいぶいい時間になってきたんで、演劇を作るときに大事にしてることというか、何か自分の中の心躍る瞬間というか。そういうのを聞けたらなと思うんですけれども

やぎその:…でけえ声じゃない…?

河村:でけえ声です。

大石:でけえ声ね!

河村:やっぱ劇場に行って浴びられるものの一個、日常とは切り離された特殊なもののひとつに、「でけえ声を普通に聞ける」っていうのが

やぎその:それマジでそうかも。

河村:街中で聞くでけえ声なんてロクなもんないから(笑)ではなくって、非常に合法的に平和にでけえ声を聞くなら劇場へって感覚あるんで、大事にしてますね。

大石:今回もでけえ声たくさん聞けますか?

河村:たくさん聞けます。僕も出るので僕もでけえ声出します。

大石:毎回出てますもんね。やぎそのさん、まだ言ってない河村さんのいい話とかあれば。

やぎその:今回じゃないんですけど、そもそも劇団を続けてくれていること?すごい苦労だと思うんで…そのこと自体かな。

河村:河村が演劇やってることだね。

やぎその:そうだね、河村が演劇を…表現の場を、私およびいろんな人のために取っといてくれているということは、すごい感謝してるというか、スゲーなと思いますね。

河村:すごく意外かもしれないけど、持続性のある劇団を目指してるっていうのがね。

やぎその:そう、サスティナビリティがね。

大石:南京豆NAMENAMEと、おっきな声と、サスティナビリティがいまいちくっつかないけど、ほんとは同じなんですね。

やぎその:三位一体で。

河村:ギャンブラーじゃないというかね。

やぎその:そう、私が子どもとかいて、まだ小学校も入ってないけど、近々戻りたいとは思っていて。「絶対に演劇を諦めたくない」っていうスローガンが私の中にあって。この立場になるとできない、みたいなの、なんとなくあるじゃないですか。この時点で役者で食ってなかったら、みたいなのあるけど。でも演劇を続けちゃいけないなんて誰も言ってないんだし、どんなお母さん、専業主婦、誰でもおじいちゃんおばあちゃん、誰でも演劇していいはずだから…私は南京豆そういう場所だと実は思ってるので。

河村:みんな来て〜!一緒に演劇やろうね!おいでおいでおいでおいで〜ってやってるので。

やぎその:老若男女みんな来てください。

河村:ずっと一緒に演劇やろうねってやってるんで。

やぎその:こちとら、来るもの拒まず去るものちょい追い(みたいなスタンス)なので。

河村:今回の「リディキュラブ」観に来ていただいて、楽しいじゃんこいつら面白いじゃんと思っていただければ、いつでも門戸はガバガバなので。

大石:あっ劇団員としてでもって感じでですか。

やぎその:当然!劇団員としてでもいいし、サブみたいな派遣バイト的なポジションも用意してますんで、私みたいに毎回役者として出なくてもこうやって、存在してもいい劇団ですし、

今ホームページに載ってるインポリオっていう、もうチラシしか作ってないみたいな男もいたりとか、あと「普段参加しないけど、今回は参加する」みたいなことも全然できますので、いろんな演劇の関わり方をしたい方、模索している方には結構おススメかもしれない。

河村:そうですね。やりたかったらもう本当に、すぐに来てっていう。

大石:すごい。持続可能性があり、門戸が広い南京豆NAMENAME。今回はギャップのあるお話が聞けて面白かったです。

河村:荒くれ者視されがちだから。

大石:荒くれ者臭するよ!

河村:めちゃくちゃファミリーなんで!


南京豆NAMENAME『リディキュラブ』公演詳細はこちら!


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