佐藤佐吉演劇祭2022、参加団体のこれまでとこれからをお伺いし、できれば歴史をアーカイブしていくインタビュー企画"Roots"が始まっております!
今回は、3/31より初日のかるがも団地のみなさんにいらしていただいた、インタビュー配信の抜粋書き起こしです!
かるがも団地
平成の終わりにひっそり登場。「団地のようなあたたかさ、多様性」を合言葉に活動する、八王子発の家庭的なやわらかおふざけ劇団・かるがも団地です。
東京都立大学の演劇サークル劇団時計で出会った藤田恭輔・古戸森陽乃・宮野風紗音がにこにこしています。
うまく生きられない人々を、おもしろ切なく描いたり、役者に安易に変顔をさせたりする劇団です。(演劇祭HP紹介文より。写真左:宮野風紗音 写真中央:藤田恭輔 写真右 古戸森陽乃 公式HPのプロフィールはこちら。)
大石:佐藤佐吉演劇祭2022のインタビュー企画Rootsということで、今日はかるがも団地のみなさまにいらして頂いております。よろしくお願いします!
それでは、皆さま簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。
藤田:はい。じゃあ私から。かるがも団地で主宰と脚本・演出を主に務めさせていただいてます。藤田恭輔です。よろしくお願いします。
古戸森:かるがも団地で宣伝美術とSNS回りを担当している古戸森陽乃といいます。よろしくお願いします。
宮野:団地で制作とキワモノを担当しております。宮野風紗音です。よろしくお願いします。
大石:よろしくお願いします。キワモノとは…!
宮野:(笑)藤田くんの書いてくれる作品ではですね、もう飛び道具としてしか使われなくてですね。
両親とかも見に来てくれたんですけど、去年王子小劇場でやらせていただいた「意味なしサチコ、三度目の朝」のときも、本当にキワモノしかやらないよねって言われて、それをウリにしていこうかなって思ってます。
大石:なるほど、らしいですよ。
藤田:もう学生の時からの名残なんですけど、どんどん飛び道具もキレキレになってきたので、この調子で伸ばしていけたらいいのかなと(笑)
大石:(笑)じゃあ始まる前に、えんぶチャート2021の…入賞?入ランキングおめでとうございます。
藤田:さもめちゃくちゃトップかのようにね(劇団Twitterではしゃいじゃって)
古戸森:そうベストテンに入ったかのような書き方したけど
藤田:そこまでじゃないですけど。投票していただけただけでもありがたいですね。
"学校でも家でもない、何かもう一個の場所"
大石:皆さんの演劇を始めたきっかけ、っていうところから聞いていきたいなと思ってます。いかがでしょう。
藤田:生まれが秋田県の能代市っていうところなんですけれども、そこで能代ミュージカルっていう市民ミュージカルがあったんですね。僕4兄弟なんですけど、姉がもう(能代ミュージカルを)やってて、で、小学校1年生のときに親に成り行きで入れさせられ
たのが最初ですね。それが他校の子ともふれ合う場で、学校でも家でもない、何かもう一個の場所みたいな感じで、僕はそこが居心地がすごく良くて。
で、姉弟も続けてたんですけど、いつの間にか自分だけはまってて…高校も演劇部に入ったのは、最終的には自分だけだったっていう感じですね。
大石:なるほど。なるほど。そこから東京に来て、
藤田:そうですね。高校のときにオープンキャンパスで東京の大学とかいくつか見に行ったんです。そのときにこっそり小劇場とかも観たりしてて「これが都会のお芝居なんだな」とか思いながら。母にも「あんた顔に東京って書いてたわよ」って言われたりしたんですけど(笑)東京という演劇が盛んな街で、ちょっとやってみたいなと思う下心を持って上京した感じですかね。
古戸森:さくっと話しますね。私は中学校のときに文化部があんまり数がなかった中で、演劇部に入って、そこから高校でも続けて、
高校のときにいろいろ小劇場とか高校生割引で観たりとかして、大学の演劇サークルで藤田と宮野に出会って今に至るという感じです。
大石:ありがとうございます。すごいさっぱり!宮野さんはどうですか。
宮野:じゃあ古戸森が稼いでくれた尺を全部使おうと思うんですけど(笑)
5歳ぐらいのときに親がテレビでキャラメルボックスを見てまして。それを一緒に見ててですね、っていうのと、あともうひとつ。
小学生のときにですね、あの芸術鑑賞教室で、小三のときに見た芝居がものすごく面白くてハマり、
高校生のとき演劇部入りたかったんですけど、映画制作同好会しかなくて、演劇部がなかったんです。で、そこにとりあえず入って、部活動に昇格された時に無理矢理演劇を乗っけて、そこでできるようにして、見よう見まねでやってて。
やっと大学入ってからこの面々に出会って、演劇サークルに入って本格的に始めたって感じですね。
大石:なるほど、ちょっと先に団体について聞いちゃいましょうかね。かるがも団地は演劇サークルに、集った者が作った…?
藤田:そうですね、「劇団時計」の、2014年度入部の同期なんですね。ここの3人が。
学年で10人ちょっと居たんですけど、卒業する最後の卒業公演ってのを4年生の最後にやって、そのタイミングでその先も演劇をどうやら続けそうだった3人って感じですかね。
宮野:今は都立大学、その頃は首都大学東京だったんですけど、その時代って学部がものすごく大きく括られてて、私たちは都市教養学部っていう、
ものすごい何でもある学部になっちゃうぐらい、ざっくり括られてたんです。その中でも、学系まで一緒っていうのが、この3人ですね(笑)
かるがも団地 第5回本公演「意味なしサチコ、三度目の朝」(撮影:稲垣隼)
"面白いだけじゃなくて、格好いいな"
大石:みなさんの影響を受けたものを聞いていきたいんですけど、何にドハマリしたとか、音楽とか人物とか、聞いていきたいんですが、いかがでしょうか?
藤田:お笑いとか、音楽とか、テレビドラマとか、演劇とかいろいろな作品に触れてはきたんですけれども、うーん一番多分最初とか根っこの方にあるのは、たぶんお笑い。
小学校のときにバラエティーの番組をたくさん見てて。その中でも、たぶん松ちゃんとウッチャンなのかな。ガキ使とか、一人ごっつっていう松本さんが一人でやってた番組とか、
あとはコント番組の笑う犬とかはすごく好きで、ずっと見てて…何かあの時から、子供ながらに何かコントやってる人達、すごい格好いいなって、たぶん思ってたんですよね。
面白いだけじゃなくて、格好いいなって思ってた記憶があります。
演劇にもうちょっと近いところの影響でいうと、テレビドラマはクドカンさんの書いたものとか、坂元裕二さんの書いたものとかをすごく見てて、高校とか大学ぐらいから結構、脚本家をすごく意識しながらドラマを見るようになったんですよね。渡辺あやさんとかの書いたドラマであったりとか。
演劇は、ヨーロッパ企画ですね。福島のいわきで公演があって。ヨーロッパ企画って京都の劇団さんで、まず東北で公演っていうことがなかったんですよ。
でも、中学校のときにいわきでやる、となって、初めて観に行って。生で小劇場の団体を初めて見たのが多分ヨーロッパ企画さんで、それがめちゃくちゃ面白くて、いまだに本公演は毎回観に行きますし、かなり影響を受けてるかなと思います。
大石:すごい…わかりますね、藤田さんの。古戸森さんはどうですか?
古戸森:私はまずマンガとか本とかが小中学生くらいのときはすごい好きで。よしながふみさんのマンガがすごい好きですね。きのう何食べた?とか、あの男女逆転の大奥とか書かれてる。
細かい人の感情とか群像とかを描くのがすごい上手な人だなっていうのは思ってて、そこで何て言うのかな。ゆるいBLじゃないですけど
宮野:関係性萌え的な?
古戸森:萌えというか…そういう人もいるんだな、みたいな。いろんな人が世の中にいるんだな。っていうのを小中学生ぐらいのときに思ったりした、っていうのが1個あるのと、
あと高校生のときにさっき高校生割引ですごいたくさん演劇を見させてもらったっていう話をしたと思うんですけど、
それこそ王子小劇場さんとか。もう私が高校生のときから高校生千円っていうのをずっとやってくださってたので、そこでロロさんとか、劇団競泳水着さんとか高校生のときに初めて見て、
そのときに折込チラシとかを見て、かわいいとか、おしゃれだなって思う劇団さんにどんどん行ってた、っていう経験があるので、やっぱチラシって大事だなっていうか、自分が観劇に行く1個のきっかけになるなっていうのは、そこからずっと思ってることではありますね。
大石:なるほど。みんなちょけてる感じで、完璧にまとめてくるな(笑)宮野さんどうですか?
宮野:待ってました。とっちらかさなきゃなので(笑)本当にエンタメ全部好きで、お笑いも音楽もマンガも本も好きだし、お笑いは藤田くんが言ったようなものはもう全部観ててみたいな。
1歳から一人ごっつ見てたっていう証言が親から取れてるんですけど(笑)
劇場とかにいくタイプだったんで…高校生のときとか
大石:出身はどちらですか。
宮野:東京です。ガチガチに東京ですね。劇場にすぐ行ける。
大石:通ってたタイプの。
宮野:そうですねもうドンピシャ。みんなが思い描くそれですね。
でも小劇場演劇には全然行ってなくて、私本当に絵に描いたような人なんで、ラーメンズが好きだったりとか小林賢太郎さんの演劇を観に行ったりとか、TEAM NACSが好きだったりとか、ちょっとずれるけど、ナイロンも好きだったり、中劇場以上に行くことが多くて、全然小劇場なんて観たことなくて。
唯一、初めて観た小劇場が楽園で。川尻恵太さんのSUGARBOYの「Fruits」っていう作品があって、それで客席の近さに衝撃を受けて…
大学入ってからこの2人がいたんで、めちゃくちゃ小劇場の情報が入ってくるようになって、
というのと、自分がこの仕事(演劇の制作)を始めたのは大学2年からなんです。
なのでそれが相まってやっと、小劇場に興味を持ち、見はじめた、みたいな感じですね。結構遅めです。
大石:お笑いは誰を推してたんですか?
宮野:お笑いはですね、これが数奇な運命なんですけど、私がエンニュイっていう劇団で制作をやっていて、その劇団の主宰が芸人さんで、クレオパトラの長谷川さんていう方なんですけど、
吉本のそれこそ∞ホールに出てた方で…推してました。
全員:(拍手)
宮野:あんまり言わないんですけどね。不思議ですよ。本当に、もう周りが昔見てた人たちだらけなんですよ、今。
"ほぼほぼ半分以上がふざけてる気分でやってます"
大石:みなさんお笑いに親しんだ幼少期だったんですね。あ、「何がきっかけで劇団をやろうってなったんですか、サークルに入った頃から仲良しだったんですか」とコメントで質問が来てますね。
藤田:何がきっかけだったんだろう。
古戸森:あれじゃない?大学2年生のときに、企画公演みたいなのをこの3人が主催したんですよ。
私が30分の短編を書く、藤田も30分、宮野も30分ぐらい、それぞれ書くって感じでやって。たぶんその時になんとなくこの3人、っていう感じになったんじゃないのかな。
藤田:そうね。それが同期公演だったんですよね。2年生公演みたいな感じのくくりだったんですけど、小規模な公演で、この3人がもろもろのスタッフワークを全部ほぼほぼ回すっていう(笑)死にかけたんだけれども…
宮野:ちょうど藤田くんがその時期、脚本演出もやってたけど、音響を担当してて。
で古戸森が照明を担当してて。私がその頃舞台監督を担当してたんですよ。
古戸森:サークルの中ね。ここ3人いれば、なんとなくちっちゃい公演ならできるかなみたいな。
大石:自主性がすごいですね。
古戸森:そうなんですよ。都市教養学部なんで…!
藤田:都市教養学部は関係ない…そうですね、旗揚げしてからは私が書かせてもらってますけど、学生の頃とか学園祭の公演とかでも、新歓公演とかでも古戸森が台本書いてる時もありましたし、なので未だに稽古場でも、何かもっとこうした方がいいんじゃない、ってそういう演出的な意見をもらったりとかしてます。
古戸森:それが一番楽しい。人が作ったものに文句言ってるのが一番楽しい。
宮野:最悪の印象だよ、書き起こされるよそれ。
大石:稽古はどういう風に進んでるんですか?
藤田:稽古は…僕がずっとすいませんって言ってる感じですかね。
古戸森:そんな…それはそうだけど…!
藤田:僕が骨組みのような、断片のようなものを持ち寄ってきて、ちょっとヒントをもらいながら、膨らませて。で、同時に…あ、僕がわりとあて書きをしたいなって思ってるタイプなので。皆さんがエチュードしたり、おふざけしてる様を見ながら、ああ、この人はちょっとこういう役をやらせてみようかな。あるいはこういうキャラを想定してたけど、こっちの方が合ってるかもなみたいなことを最初にちょっと少し見させていただきつつ、実際の本をそこから組み上げていくような感じです。
個人的な気分としては、ほぼほぼ半分以上がふざけてる気分でやってます。
宮野:稽古してないよね。ずっと笑ってますね。みんなずっと笑ってる気がする。
大石:いいなあ!じゃあ藤田さんに脚本の話をお伺いしたいんですけど、プロットとか箱書きとかそういうのは書いたりするんですか?どういう風に書き進めるタイプの人ですか。
藤田:そうですね、まず実際手を動かしている部分でいくと、プロットのようなものは最初に書きます。あと人物設定は、なるべく詰めて書くようにはしています。
大昔は会話をいきなり書いていたんですけれども、筋が自分の頭の中で整ってない状態で書き始めてもズレていたときに書き直しの量が多くなってしまって。それが嫌だなっていうか…セリフだとごまかしがきいてしまうような感じというか。
実はここ繋がってないのにそれっぽい会話をしたから、繋がったような感じになってしまうみたいな、脚本初心者あるあるなんですけど。大学のとき1年間脚本の学校に通って、あんまりそういうのはよくないなと思って。
最初にテーマというか、何を目指したいのかっていうところは自分なりに定めながら、まずプロットとキャラをある程度考える。っていうところからスタートしてますかね。
ただ、そのプロットだけで頭の中にぜんぶ物語を思い描けているかっていうと、実際にその登場人物たちが話してないと分かんないことがあったり、あるいは行動したりして初めて見えてくるときもあるので、結局、完璧なプロットっていうのがなかなか作れずに、でも時間が迫ってきてしまって、じゃあなし崩し的にああ、もうセリフに起こさなきゃって感じになっちゃって。で、セリフに起こしてる過程でも最終的に調節していくみたいな…実際に文字が立ち上がっていく過程としてはそういうふうになっちゃってますかね。
大石:ありがとうございます。行き詰ったときとかってどうやって解決してますか?
藤田:昔は徹夜すればいけるんじゃないとか、徹夜で何とかしたいって思っちゃってたんですけど、それはいまだに思っちゃうんですけど、寝ます(笑)
古戸森:えらい。それはえらい。
藤田:僕の脚本の先生がめちゃくちゃ徹夜できる人なんですよ。だから睡眠削ってでもぜんぶ注いで、みたいなやり方しか最初はわかんなかったんですけど、
僕は受験勉強の時から徹夜を試みてはたびたび失敗してきてるので…寝ないとやっぱり脳みそのCPUが下がるって言うんですか。
夜中に起きて頑張ろうって思っても、もうただ起きているだけの、何にも頭働いてない、よくわからない生物みたいな状態になってるんで…だったら一回寝た方が頭も効率よくブーストを効かせられるというか。
あともう1個は、詰まってるその1個前の段階に戻ったり、角度を変えるみたいな。
プロットで行き詰まってたら、じゃキャラクターを考えようとか。キャラクターで行き詰まったら、じゃあ1回ちょっと話の、ほかのところ書いてみようとか。
キャラ、ストーリー、テーマ、みたいな感じでこう…掃除の当番表があるとしたら、こうぐるぐる回してこうやってみるとか、角度変えてみる。っていうことをやったり。
ストーリーを考える中で、1個パズルのピースのようにここだけがハマらないみたいな。前後の展開はあるんだけど、その間がハマらないみたいな時が往々にしてあるんですけど、
そういうときはそもそも前後にやっぱり矛盾があるんだろうなとか、今悩んでいる1個前の段階とか、1個外側の段階を見てみるみたいな…ですね。
1個は寝るってのと、1個は考える角度を変える、みたいな。
古戸森:あんたすごいねえ。
大石:褒められた。脚本の学校ってどこに行かれたんですか?
藤田:赤坂にシナリオ作家協会さんというところがあって、そこのスクールに1年ほど。映像向けの学校でしたね。
大石:劇団の歴史的なエピソードうれしい、とコメントもらってますね、3人は仲良さそうですけど、喧嘩とかするんですか?
宮野:バチバチですよ。
古戸森:バチバチですよ。
藤田:9割以上僕が悪くて僕が怒られます。
古戸森:嫌なことは嫌、って3人とも言うと思います。
私も言うし、藤田くんもそれはちょっと嫌だったとか言うと思うし、あとは普通にここは譲れないからこうしてほしい。とか言うし。
大石:決定的なとこに行く前に、お互いがちゃんとお互いにダメなところを言うぞみたいな風になってるんですね。
藤田:その意味では、溜めすぎない感じにはなってます。
宮野:脚本も、喧嘩とかじゃないですけど、おかしいんじゃない。とかあったら、すぐ言うしね。
大石:いいですね〜!じゃあ今回の着想とか、今回のお話に関してお伺いしていきたいです。なんとなく幸せだった2022はどんなお話ですかね?
藤田:うちはそんなに再演ということはまず基本的にはしてきてないんですけど…再演、再演なのか?再演ではないですね。
宮野:再演ではないです。
藤田:再演ではないですけど、タイトルが一緒です。
大石:うっかり再演だと思ってました。
藤田:もう跡形もないですね。
宮野:一言しか同じセリフないんで今のところ。
藤田:なんとなく幸せだった、というお話をやらせていただくんですけど、実はタイトルだけでいくと、それこそ3回目なんですよ。
1回目はさっき話した大学2年生のときにの三十分の短編、そこで初めて、なんとなく幸せだった、というお話をやったんですよ。
2019年に初めて王子スタジオ1で第2回公演をやらせていただいた時も、なんとなく幸せだったっていうタイトルで、それが2回目で、今回が3回目なんですけど、基本的にはどれもまったく違う話なんですね。
大石:なるほど。
藤田:でもなんでわざわざ同じタイトルにしてるかって言えば、一応そのお話の核、テーマ的な部分が共通しているっていうのと、
カラオケをちょっとモチーフにした青春コメディっていうところで、その…フォーマットでもないんですけど、っていうのがずっと共通してあるんですよ。
今回は高校1年生から25歳までの10年間を描くんですけど、僕ら世代が主に聞いてきたような音楽とかを絡めながら、男女7、8人の10年間を描く、っていうようなコメディになってます。
大石:よさそう〜。ちなみにどんな音楽が出るんですか。
藤田:どうしよう…どこまで言っていいのかな…(悩んでいる間)宮野何か喋っててもらって。
宮野:ええ…1個だけ話したいのが、さっきのケンカの話題に関連してなんですけど、第2回公演、王子スタジオ1でやったときって、大学の頃やった「なんとなく幸せだった」再演して、それに後日談をつけるっていう…だから、普段の本公演とはちょっと違う公演にしよう、ちょっと楽しようみたいな感じで、じゃあ1.5回公演って名付けてやろう、短めにやろうって言ってたんですよ。
で、第1.5回公演って告知も出して、そしたら(藤田くんが)全然違うのを出してきて、「うん、全然違うじゃん」って!しかも尺も90分か100分とかあって、「信じられない!」ってキレながら、第2回公演に直したっていう経緯がありましたね。全然再演できないんですよね。藤田くん。自らのアラが見えちゃうらしくて。その頃の。
大石:俳優が違うのもありますか?
藤田:それもありますね。この俳優さんだったらとか、この座組だからこう、っていうのがどっか頭の隅にあるので…。
宮野:曲を教えろよ!はやく曲を教えろよ!
藤田:あえて漏れた曲を言うと…チャットモンチーとか、YUIとか。木村カエラとか。
大石:我々、意外と年離れてないですよね…それでは、宮野さんと古戸森さんに、今回の推しポイントを教えてもらえたらなと思うんですけど。
古戸森:出てくるキャラクターが全員可愛いですね。群像だから全員可愛い…可愛いっていうか、全員愛せる。かるがも団地ずっとそうな気もするんですけど、
どれを見ていただいても、基本的には全部悪みたいなやつがあんまり出てこない。
藤田:じゃあ次はアウトレイジだ。
宮野:アウトレイジやったら多分、全員愛せちゃうよ。私たち。
推しポイントは…やっぱ。今回新しいかるがもフレンズが多くてですね……。あ、我々、劇団員がほとんど出ないっていうシステムをとってまして。
劇団員がほぼ役者として…まあ出るんですけど、そんなにメインの役、例えば主役を張ったりとかってのがそんなになくて。
漏れたおいしい役をいっぱいやるっていうのやってて。なので客演さんが主役、みたいなところがあって、で、客演さんも含めて、ちょっと何かこう、大きな身内みたいな感じで、仲良くしようねっていう意味で私たちは勝手にかるがもフレンズと名付けて囲ってるんですけど、
新しく参加してくれる人たちが今回多くて。ただみんな来るべくして来てるな、っていう感じがすごくて。ほんと偉そうな言い方かもしれないんですけど…。
変な台本が来てもみんな笑いながら読んでるし。こここうしたらいいんじゃないですかみたいなのも変なこと言ってくるし、バミリ紐作るだけではしゃいでるし、すごい、かるがも団地に合った人たちしかいないなっていうのを、実感しやすい作品だと思いますね。
大石:すごい、いい空気の座組で、いい空気の作品ができるんだろうなってことが、ひしひしと伝わってきました。
さて最後の質問になっちゃうんですけど、演劇を作るときの…大事にしてることや、心躍る瞬間とかを作演出の方に聞いてるんですけども。
藤田:大事にしてることは、この時間にお話ししたことと重複しちゃうかもしれないんですけど、遊び心、おふざけ、みたいなところを忘れないというか。
もともとお笑いが好きっていうのも根っこにあるんですけど…なかなかこう生きてるとしんどいので(笑)
どこかその、楽しい時間を過ごしたいなと思って、時間とお金を割いてわざわざ集まってるので…
それこそ団地に遊びに来てくださったように、客演のみなさんも楽しかったなって思って帰ってもらえたなっていうふうにも思ってますし。
僕ら自身も楽しくおふざけができたらいいなっていうのは常に思ってます。だから大事にしてることってなんか遊び心みたいなところなのかな。って思ってます。
心躍る瞬間は…最近は、演出してる人ってみんなそうかもしんないんですけど、自分が想定してた以上にシーンがパンッて面白くなる瞬間があって。
これは先輩の言葉を丸パクリするんですけど、「想像が想像以上で返ってくる瞬間」が、やっぱり稽古をしてるとあるのでそういう瞬間に立ち会えたときは、演出をしてて、お芝居を作っていてよかったなって思える瞬間ですかね。
大石:ありがとうございます!これでいったん終わりになりますが、何か喋り残したこととかあれば。布教したいこととか。
古戸森:スキップとローファーって漫画がめちゃくちゃ面白いです!
宮野:最近、スキップとローファーのこの役は、このかるがもフレンズにやってほしいっていうラインがすごい届くんです。私まだ読んでないけど…!
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藤田さん、宮野さんは、演劇祭関連企画の「三六闇市」「王子落語祭」にも参加予定です!こちらも要チェック!!
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