佐藤佐吉演劇祭2022の関連企画として開催される『見本市』
活動最初期にあたる9団体を選出し、ショーケース型の公演を行います
【公演詳細】
佐藤佐吉演劇祭2022 関連企画 ショーケース公演「見本市」
2022年4月7日(木)ー10日(日)@北とぴあ カナリアホール
佐藤佐吉演劇祭2022 関連企画 ショーケース公演「見本市」
2022年4月7日(木)ー10日(日)@北とぴあ カナリアホール
みなさん、はじめまして。インタビュアーの平井です
見本市の"カタログ"をつくろうと始まった、このインタビュー企画
未知の存在ーーUMA(ウルトラ・ミラクル・あたらしい)でもある、なんともキュートで愛くるしい彼彼女らの"これまで”と"これから"を聞き出してきました
ここでしか聞けないような話も目白押しなんです。ぜひ最後まで見ていってください!
「見本市カタログをつくろう」第8回目のゲストはオドルニク主宰の中西一斗さんです
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【ゲストプロフィール】
中西一斗 https://twitter.com/act1too(オドルニク https://twitter.com/odolniku)
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1996年8月5日生まれ。広島県出身。
高校で演劇部に入部。大学で劇作、演出を始める。脚本、演出、役者を務める。
活動歴
2017年1月 第1回四国学生演劇祭優勝
2017年10月 第2回四国学生演劇祭優勝
2018年9月 第3回四国学生演劇祭優勝
2019年2月 第4回全国学生演劇祭大賞、審査員賞受賞
2019年4月 文学座附属演劇研究所演出部入所
2020年1月 文学座附属演劇研究所演出部退所
〜おうち時間にオススメの一品〜
・ジョン・ランディス「The Blues Brothers」
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社会人劇団の自由さ”が恋しい
中西:演劇を始めたのは、高校の演劇部に入ったのがきっかけでした。
その頃は役者だけをやっていて、大学に入ってから脚本を書いたり、演出をするようになりました。
その頃に、大学の演劇部とは別に”社会人劇団”に入りました。
そこで”演劇に対するイメージ”がいい意味で全部ズレました。
「自分も団体の中心になって、演劇をやっていきたいな」と考えるようになって、大学3年生の時に劇団を立ち上げました。
そのあと、それまでは”学生としての演劇活動”しかしてこなかったので、「専門的に演劇を勉強したいな」と思い、東京に来て、「文学座」の演劇研究所の”演出部”で専門的に学ばせてもらいました。
その時にやっぱり、自分は「”社会人劇団の自由さ”が恋しい」というのが強くなって、「自分で劇団をやりたいな」とより思うようになりました。
その時に「Dumb Dumb Bomb」という劇団を立ち上げたんですけど、思うように活動できませんでした。
コロナ禍が多少落ち着いてきたタイミングで、「心機一転名前を変えよう」と、メンバーはほとんどそのまま「オドルニク」を立ち上げました。
団体名の由来は「”血湧き肉躍る”作品を創っていきたいな」という感じ。
あと、「肉はみんな好きだろ」という感じです笑
(東京初単独公演より劇中写真)
ちんちんの妖精
中西:僕が所属していた高校の演劇部は”新劇”がメインでした。
高校生がやるにはちょっと重い内容というか、大人っぽくした感じで、高校生が静かに演じていました。
ただ、大学生の時に入った社会人劇団というのが本当に、ドシモネタを連発して、”ちんちんの妖精”が出てきたりしていました笑
「あ、舞台ってこんなに自由なんだ。これが許される。受け入れられるかはまた別としても、表現したいものをそのままストレートにやっていいんだ」という驚きや発見があり、その劇団をめちゃめちゃ好きになって加入させてもらいました。
そこで活動していくうちに「自分でもこういうことをやりたいな(シモネタをやりたいわけじゃなく)」と思うようになりました。
今一緒にやっている劇団員がもともとそこに所属していて、稽古を見学させてもらったのがきっかけです。
この時の作品が、未だにルーツみたいなところにありますね。
高校の時に演劇部に入ったのは、女の子にひとめぼれしたのがきっかけです。
その女の子が演劇部だったので入部しました。
ちっちゃい頃からずっと水泳をやってきて、週7で練習があるみたいなガチのスイミングプールだったんですけど、その水泳が嫌いだったんですね。
中学校では部に所属したことがなくて、「高校では何かしら新しいことを始めて水泳をやめられたらな」みたいな笑
あと漫画が死ぬほど好きです。
1番好きなのは「ONE PIECE」です。
初期の段階から張り巡らされた伏線が、だんだんと繋がって1つになっていくところが好き。
”伏線回収”がめちゃめちゃ好きですね。
ミステリーとかサスペンスが好きです。
漫画をちょこっとだけ描いたこともあります。
今思い返すのもすごい恥ずかしいんですけど、「ドラゴンボール」みたいな漫画を友達と2人で描いていました。
小さい頃からインドアでしたね。
外で運動するよりも、家でゲームやレゴブロックで遊ぶ方が好きでした。
出発点は”笑い”
中西:今回参加する作品を観て、「刺激になってもらえればいいな」と思います。
演劇祭の中でもそうですし、今回参加するブロックの中でもオドルニクが”味変”になるといいな笑
「楽しいものをできたらな」と思います。
人間、”光るもの”とかやっぱり好きですよね。
今回は光ったりキラキラしたりするかもしれないです。
作品で”鍾乳洞”に旅行に行きます。そこで何かが起こるっぽい。
出演者は6人......ぐらい?
一応、みんな人間です。”人間”と、”一応、人間”です。
今回もやっぱり出発点は”笑い”にしたいなと思っています。
”演劇をやめてもいいな”と思えるものが作れたらそれでいい
中西:自分はすごい”負けず嫌い”で。
演劇って”競うものじゃない”と分かっているんですけど、学生の大会とかではやっぱり順位が出たりする。
そこで「同世代で自分より上がいる」というのがもうむかつく。
1回「負けたな」と思う相手には、復讐しないと気が済まないというか笑
すごく曖昧なんですけど、目の中で「勝ったな」と思いたい。
最終的には「”演劇をやめてもいいな”と思えるものが作れたらそれでいい」と今のところは思っています。
突き詰めていく作業に焦がれている
中西:高校の時にバンドをやっていました。
その時のバンドメンバーが今、東京で音楽の専門学校を出て、フリーの作曲家をしています。
その人に「劇団のテーマ曲みたいなの書いてよ」と依頼して、この間ちょうどその”レコーディング”の場に参加させてもらいました。
彼がソフトを駆使して、その場で色々効果を付与していて、言葉が「スゲー
」としか出てこなかったですね笑
「なにがどうやってそうなってんだかわかんねー」けど、聴いたらとっさに変わっている。
その時に”(音作りの)選択肢”というのは無限にあったらしくて。
俺が見ていたPCの画面だけでも、もう無限に見えるのに、まだまだ欲しい機材やソフトがあって、それを組み合わせていくともっともっとできることが広がるらしい。
そいつは笑いながら「大人の趣味だよ」と言っていたんですけど、「それって音楽だけじゃなくて演劇もそうだし、創作って全部そういうものだな」と思いました。
自分の中だけでの”こだわり”だったり、そういうのを「突き詰めていく作業に焦がれている」と言ったら、そいつがのめり込んでる姿が「1番すごいな」と思いました。
("出所したて"みたいになった免許証)
(演劇は)麻薬みたい
中西:高校に入ってすぐに役者として舞台をやらせてもらったんですけど、最初の最初の段階では”何の根拠もない自信”を持っていました。
それまでも"学校にたまに来る劇団"の劇なんかを観る機会はあったんですけど、やったことは1回もなかった。
中学校の時に文化祭で劇をやっていて。
その主役を観て、俺は立候補もしてないし、なんの役にも入ってもいなくて、ただ客として見ているのに、”絶対俺の方がうめーわ”みたいに感じて笑
「いや、俺はイける気がするな」というので、高校に入って実際に役者をやってみたら、最初の本読みで「初めてにしては上手いんじゃない?」と言われて、更に調子に乗りました。
ただ、その最初の稽古でもう、しっかり反省しました。すごい恥ずかしかったのを覚えています。
立ち稽古になって、覚えているはずのセリフが出てこなくて、間違えるたびに「あ、すいません」と勝手に自分で止めて、演出家に「止めないで」と言われて。
その時は「あ、入部ミスった。この公演が終わったら辞めよう」と思いました。
でも、カーテンコールでの拍手が気持ちよすぎて「もうちょっと続けようかな」と思いました。
(演劇は)麻薬みたいです笑
「何をやりたいか」を訊きます
中西:普段からアイデアや、”見ていて面白かったやりとりや言葉”をメモするようにしています。
それで、本を書き始める前に、座組でまず「何をやりたいか」を訊きます。
何も問わずにざっくり「なんかこれやりたい」「殺人鬼やりたい」みたいな声をみんなから聞き出して。
それを貰って、それを眺めて、「じゃあ、こういう話にしようかな」とメモします。
そこから頭の中でしばらく考えます。
ざっくり「こういう話をこういう流れで、こういうオチにしよう」というのが決まった段階で、プロットを書きます。
そして最後まである程度の骨組みができたら、書き始めます。
推敲はめちゃめちゃ多いです。
初稿を書いていて、後半になってくると「なんかもうとりあえず書き上げたい」とすごい雑になって、劇団員にボロクソ言われて、みたいなのが毎回です。
その座組のメンバーに感想を貰って、自分で取捨選択して取り入れます。
メモを取るのは、バラエティ番組での芸人さんのやり取りだったり、マンガ、映画を観ている時が多い。
あと例えば、うちの劇団員が言っていたことなんですけど、「”毎年、今年秋ないじゃん”と言っている奴がすげえむかつく」と。「秋を感じたことねえじゃん」みたいな笑 確かに分かるんだけど。
今回の作品タイトルは「夜の踊り方」
中西:今回参加する作品のタイトル、仮なんですけど「夜の踊り方」(※後日確定)です。
一応初稿は書いたんですけど、”推敲次第で”と悩んでいます。
すごい個人的な話なんですけど、コロナ禍で落ち込むことが増えました。
「舞台ではどうしようもできない」ことを感じて、やるせなさを思ったり。
”落ち込む夜をどう過ごすか”ということで今のところつけています。
タイトルは、作品によりスパンと決まったり、「もうこれだな」とタイトルから書き始める時もあって、付けるタイミングは色々です。
おうち時間にオススメの一品は「The Blues Brothers」
中西:ジョン・ランディス監督の「The Blues Brothers」という映画がオススメです。
孤児院で育ったブルース・ブラザーズが、孤児院が税金を払えなくて困っているのを、「音楽の力で金を集めて救おうぜ」という話です。
まず主役2人の”キャラクター”が魅力的です。
バカみたいな爆発に巻き込まれても、”何にも動じない”ところだとか「クールとは何か」というのを体現しています。
それから作品全体として、ブラックミュージシャンに対するリスペクトがすごい入っている。
彼らが全身黒ずくめなのも、その多くのブラックミュージシャンに対するリスペクトなんです。
レジェンド級のミュージシャンも何人か実際に出ています。ジェームス・ブラウンやアレサ・フランクリン、レイ・チャールズとか。
彼らの楽曲だったり、有名な曲をカバーしていたり、音楽だけでも楽しめる。
パトカーのクラッシュも魅力的。1本の映画で破壊した台数の、当時のギネス記録なんですよ。57台とか。
馬鹿としか言いようがない笑
この作品を観て、「なんかわかんねーけど明日も頑張ろう」となります。
落ち込んだ時に観ることが多いですね。何回も観ています。
(東京初公演より劇中写真)
フリータイム
中西:少年漫画が原作のアニメで、”ラスボスを倒す時にオープニングが入る”のがめちゃめちゃ好き。
”盛り上がり”で曲を入れるのは大好物ですかね笑
それと、絶対に”フリータイム”みたいなものを脚本に組み込むようにしています。
セリフで全て決めるのではなくて、”稽古場のやりとり”や”本番のやりとりで変えようね”というコーナーを絶対に入れます。
セリフで全て決めちゃうと、自分の頭の中のものでしかなくなってしまう。
”稽古場での役者間のやりとり”で出来上がったものを1カ所は入れたい。
お芝居以外で話していて楽しい人
中西:(過去の団体名義も含めて)自分の作品を発表したのは、小さいイベントも含めて......10回?
今の劇団のメンバーは6人です。
大学の先輩で、社会人劇団(先述)を一緒にやっていて文学座での先輩である役者さんと、一緒に劇団を立ち上げました。
それから音響と照明が各1名、それと僕を含めて4人が楽市楽座(前々身)から引き続きいます。
その後、制作をやってくれる、高校時の演劇部の後輩1人が加わりました。
オドルニクのメンバーとしては、お芝居以外で話していて楽しい人がいいですね。
別に趣味とか合わなくても、「あっ、ヤベーやつだな」「面白いな」と思える人。
お芝居以外の生活の部分で、なんか”膿”みたいなのがあるやつ笑
出演者としては、”裸NGを出さないやつ”ですかね。
さすがに女の子は大丈夫ですが笑
”悩み”みたいになっちゃうんですけど、自分の本には女の子が出てこないんですよ。
”女優さんが欲しい”となることがあまりないんです。
(稽古場で)くだらない話をしていたい
中西:稽古は嫌いですね。
「この間うんこ漏れそうになった」とか、そういう話をしていたいです。
稽古場で真面目に芝居の話をするよりも、くだらない話をしていたい笑
稽古に関係の無い話を、稽古の時間にしていたいですね。
普段の稽古場では、僕が稽古をしたくないからずっと喋っているのを、「いい加減そろそろやろうか」と言われて、「はい......」と始めることが多いです。
我々は”イロモノ枠”
中西:今回は熱量のみで勝負します。
顔合わせで他の団体さんのお話を聞いた感じ、今回我々は”イロモノ枠”だと思っているので。
”バカを1番やらかそうかな”と思っています。
――裸一貫みたいな?
中西:裸一貫かもしれない笑
去年の”M-1グランプリ”での”ランジャタイ枠”みたいな感じでやれたら。
でも”チュートリアル”みたいな感じで。
ー-変態系ということで。
中西:はい笑
※次回は明日、南極ゴジラ キャプテン ユガミノーマルさんと劇作家のこんにち博士さんのインタビュー記事です。次回もまたお会いしましょう!
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